Go to contents

最高秀作の評価「スペードの女王」、超現実な舞台―衣装も圧巻

最高秀作の評価「スペードの女王」、超現実な舞台―衣装も圧巻

Posted August. 16, 2018 08:17,   

Updated August. 16, 2018 08:17

한국어

「モーツァルトがチョコレートを好んで食べたのは事実です。ところが、指揮者アーノン・クールが言ったように、『モーツァルトのチョコレート』が音楽より先に来てはなりません。現世代の危険なことはスター性とイベント性だけが強調されることでしょう」

4日午後、オーストリア・ザルツブルク・フェストシュピールハウスで会ったヘルガ・ラブルシュタットラー・ザルツブルクフェスティバ・フェスティバル総監督(70)の口調は落ち着いていたが、断固たるものだった。ザルツブルクが故郷のモーツァルトを商業的にのみ利用することを警戒するという自らの決意だった。

今年で98年目を迎えたザルツブルクの夏祭りが先月20日開幕し、18の演奏会場で計206回の公演が30日まで続く。8つのオペラのうち、なんと5つが新しい演出で制作された。その中でも5日、初めて姿を現したチャイコフスキーの「スペードの女王」は、シュトラウスの「サロメ」と共に、今回の音楽祭の最高秀作と評価された。75歳で今も現役で活躍しているメゾソプラノ、ハンナ・シュヴァルツが歌った伯爵夫人には驚かされるばかりだった。77歳の巨匠ハンス・ノイエンフルが演出した写実的で超現実的な舞台と衣装も圧巻だった。

一方、4日夕方、祝祭大劇場で幕を上げたモーツァルト「魔笛」は、カーテンコールの拍手より前にヤジが先に飛び交った。原作を変更して演劇俳優クラウス・ブランダウアが3人の子供に童話を読んで聞かせるという形をとった「魔笛」は、ファンタジー要素を具現化しようとしたが、散漫になってしまった。莫大な制作費が投入されたリディア・シュタイヤ―の舞台は見所も多かったが、モーツァルトの人生の終着駅で人類に訴える偉大なメッセージは、童話に埋もれた。1913年の第1次世界大戦以前の時代設定と華やかなカーニバルとの関連性は疑問符として残った。

現在、世界で最も人気のある声楽家ソプラノ、ディアナ・ダムラウとテノールのヨナス・カウフマンが分けて歌ったフーゴ・ヴォルフの「イタリア歌曲集」の全曲公演は、大きな話題となった。まるでオペラの演技をするように「愛の喧嘩」をする二人の歌手は、その名の通りだった。

オーストリアのジャーナリストであり、有力女性政治家であったラブル・シュタットラー総監督は、1995年、世界最大規模の音楽祭の首長に任命され、2020年まで契約が延長された。任命権者の政治的性向によって能力とは関係なく、芸術監督が2年の任期すら全うできないことが多い韓国国公立公演会場の現実と比較される場面だった。

「祭りは大都市ではなく、小さな町で開かれるべきだと思います。ソウル、パリ、ロンドンでいくら良い公演をしても変化をもたらすことはありません。しかし、ザルツブルクでは都市全体を変えることができます」

夏休みの期間に、観客たちはザルツブルクで平均6日間滞在しながら、オペラやコンサートを集中的に観覧する。今年の場合、1月にすでに85%のチケットが販売されたという。

純粋芸術はどこでもそうだが、ザルツブルクフェスティバルも赤字だ。「計6100万ユーロ(約800億ウォン)の予算のうち、半分がチケット販売で賄われます。残りは、企業や個人の後援そして国の支援によって補われます。コンサートでは黒字を出すことができますが、舞台に多額の資金が投入されるオペラはそれができません」。しかし、年間1億8300万ユーロ(約2400億ウォン)をはるかに越える経済誘発効果は実にすばらしい。2434人の雇用創出は、成功した祭りが国にどのように大きく貢献するかを端的に示している。