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安煕正元知事の無罪判決に性的暴行被害者ら大反発、野党も「怪物に免罪符を与えた」と批判

安煕正元知事の無罪判決に性的暴行被害者ら大反発、野党も「怪物に免罪符を与えた」と批判

Posted August. 15, 2018 09:34,   

Updated August. 15, 2018 09:34

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「これがなぜ威力ではないのか」、「安熙正(アン・ヒジョン)は謝罪せよ」

午前11時10分、1審で随行秘書への性的暴行の容疑に対して無罪判決を受け、ソウル西部地裁1階の玄関を出る元忠清南道(チュンチョンナムド)知事の安熙正(53)に向かって、「安熙正性的暴行事件共同対策委員会」(対策委)の女性たちが大声を張り上げた。安氏は取材陣に「恥ずかしく、申し訳ない」という言葉だけ残して正門を出た。

安氏の性的暴行の疑いが無罪判決を受けた直後、安氏の随行秘書だったキム・ジウン氏(33)側は対策委を通じて立場文を発表した。キム氏は1審宣告には出席したが、その後、取材陣の前に姿を現わすことはなかった。チャン・ユンジョン弁護士が今回の判決に対するキム氏の立場文を代読した。

キム氏は立場文を通じて、「恐ろしく暗く寒かった長い夜を過ごし、ここまで来た。恐ろしく怖かった。被告人の反省のない態度に心が非常に痛く苦しかった」とし、裁判で感じた思いを伝えた。

キム氏は立場文で、裁判の過程であった裁判所の不適切な言動も指摘した。キム氏は、「法廷で被害者らしいということと貞操について話した」とし、今回の判決に対して「予告された結果」と付け加えた。また「この不当な結果に泣き寝入りしない」とし、「強く生きて、安熙正の犯罪行為を法的に証明する。最後まで助けてほしい。切にお願いする」と控訴の考えを明らかにした。

続く対策委の記者会見でも、裁判所の今回の判決に対する反論が続いた。韓国性的暴行相談所のキム・ヘジョン副所長は、「司法府の責任を立法府に押しつけた」とし、現行法制下で被告人の行為を処罰できないとした裁判所の判断に反論した。また、威力はあるが威力を行使したと見ることができないという判決内容に対しても、「被害者は職を失い、5ヵ月間ゆがんだ事実の中で暮らしている」とし、「加害者の威力は続いている」と主張した。

チョン・ヘソン弁護士も、「裁判所が合理的な疑いさえも排除するなど、悩むことなく法廷主義と無罪推定に依存して判断した」とし、「強制的強姦罪の要件を緩和して解釈する最近の傾向に逆行した」と指摘した。さらに対策委は、検察に直ちに控訴することを要請し、控訴審だけでなく大法院(最高裁)まで続ける意向を明らかにした。

今回の無罪判決を見つめる女性界の見解は交錯した。韓国女性児童人権センターの李明淑(イ・ミョンスク)代表弁護士は、「地位や権力が作用する範囲をどこまで見るのか、解釈が問題になる部分」とし、「障害者と違って成人女性に対しては適用範囲が狭く解釈された。裁判所は立法で解決しなければならないと言ったが、判例を変えなければならない部分」と述べ、判決に遺憾を表明した。

過渡期の判決という意見もあった。大韓法律救助公団のシン・ジンヒ弁護士は、「被害者に有利な証言が少ない状況で、裁判所が厳格に判断をしたようだ。現行の法体系だけで有無罪を判断しなければならない裁判所が限界に直面した」と指摘した。

一方、合理的という見解もあった。大韓弁護士協会の盧英姫(ノ・ヨンヒ)弁護士は、「キム・ジウン氏側の安氏の犯罪事実に対する立証が不十分で、主張が矛盾したり信憑性に欠ける部分がある」とし、法理に忠実な裁判所の判断を尊重すべきだと主張した。

今年初め、性的暴行の暴露があった演劇界と文壇界では懸念している。2月、文壇界の性的暴行の事実を暴露した詩人の崔泳美(チェ・ヨンミ)氏は、「私も衝撃を受けた。私を含む他の『#MeToo(私も)』事件に今日の判決が影響を与えないことを望む」と述べた。文学評論家の金明仁(キム・ミョンイン)氏も、「司法府が原則的に法律に示された通りにしたためか、前向きで時代に合った判断と見ることは難しい。文壇で継続して名誉毀損やバックラッシュ(反発)、2次加害が起こっている」と懸念を示した。

演劇界の被害者A氏は、「とても残念だ。権力型性的暴行を勇気を出して告発する人が躊躇することにならないか懸念される」とし、「権力型MeTooが権力によって有耶無耶にされ、泣き寝入りするのではないか心配だ」と話した。


キム・ジャヒョン記者 zion37@donga.com