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アマゾンの革新と変身

Posted July. 21, 2018 08:20,   

Updated July. 21, 2018 08:20

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「グーグルはあなたの興味が何であるかを知っていて、フェイスブックは、あなたが誰であるかを知っているなら、アマゾンはあなたが何を購入するかを知っている」

世界的な電子商取引企業アマゾンについて、英フィナンシャル・タイムズ(FT)が最近下した評価だ。世界3大グローバルインターネット企業の特徴を一言で要約しながら、アマゾンが構築しているビッグデータの能力を表現したのである。

18日、特販イベントである「プライム・デイ」に1億個の製品が売れたというニュースが伝わると、アマゾンの時価総額は9000億ドル(約1017兆ウォン)を軽く超えた。マイクロソフト(MS)とグーグルの持株会社であるアルファベットを次々と抜いた。これからは「夢の時価総額」である1兆ドル初突破のためにアップルとの本格的な競争に突入した。企業の成長と共に、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスの資産も、最近の発表でMSのビル・ゲイツなどを抜いて1500億ドル(約169兆ウォン)を超えて、世界最高の金持ちになった。

1995年7月、オンライン書店で初めて世の中にアマゾンという名前を発表してから23年。 「ショッピング王国」、「雑食性恐竜」などの異名が付くアマゾンは、熾烈な競争の「アマゾンジャングル」で何を行ったのだろうか。

●「エブリシングストア」から「エブリシング・カンパニー」に

昨年7月、米ワシントンで開かれた米インターネット協会の恒例の慈善イベント会場。司会者が対談者として招かれたベゾスに対して、いきなり「アマゾンは一体どんな企業なのか」と尋ねた。オンラインショッピングモールとだけ知っている人もいるが、事業領域が物流、クラウドコンピューティング、動画ストリーミングサービスなど全方面に広がっていきているからだ。

ベゾスは笑いながら、「やや混乱するだろう。しかし、アマゾンが手がけるすべてのことには『顧客中心主義』という一貫した原則がある」と述べた。読者が求めるすべての書籍を迅速に供給することからさらに進んで、今は顧客が必要なものであれば、有形(製品)であれ、無形(プログラム)であれ、すべてのことをカバーする企業という意味だ。

アップルが、スティーブ・ジョブズの小さなガレージからスタートしたように、アマゾンもベゾスのガレージでオンライン書店としてスタートした。ベゾスが「注文を受けた本を郵便局に直接送りに行った」と紹介するほど、みすぼらしい規模だった。しかし、ショッピングモールで販売する最初の項目として本を選んだのには、特別な「センス」があった。本はどこで買っても同じ形なので、オンラインショッピングに慣れていない客でも安心して注文できる商品だった。ベゾスの判断は正しかった。営業を開始してからわずか2年余りだった1997年、「世界最大書店」へと成長した。

アマゾンは、現在オンラインだけで4億種類以上の商品を売っており、「エブリシングストア」と呼ばれている。最初の商品が本だったら、最後の商品は野菜、果物などの生鮮食品である。生鮮食品は、在庫負担がより大きく配達過程に細心の管理が必要だが、一度買えば再購入したり、定期的に購入する顧客が多く、オンラインショッピングの「最後のブルーオーシャン」に挙げられる。ベゾスは、昨年6月、米国に400余の店舗を構えるオーガニックマーケットチェーン「ホールフード」を買収して突破口を求めた。

アマゾンの限りない事業拡大は、小売業にとどまらない。物流、クラウドコンピューティング、ビッグデータと人工知能(AI)、宇宙技術まで事業領域を拡大している。日本立教大学経営大学院のたなか・みちやき教授は、「アマゾンは『エブリシングストア』を越えて『エブリシング・カンパニー』を見据えている」と話した。(「アマゾンの未来戦略2022」)

クラウドサービス市場では、MSやグーグルを抜いて世界最強企業である。クラウドサービスとは、サーバーなどのコンピューティング資源を必要な分だけ貸して、その使用料を受け取る情報技術(IT)サービスだ。今年第1四半期(1〜3月)基準のアマゾンのクラウドシステム子会社「アマゾンウェブサービス(AWS)」の市場シェアは40%に達する。AWSがアマゾンの総営業利益の73%を創出した。アマゾンの中核事業は、すでに流通からサービスに進んでいる。

●「雑食性恐竜」アマゾンに各企業は「アマゾンショック」

アマゾンは、相乗効果を出すことができれば、伝統産業も選ばず飛び込んで「雑食性恐竜」と呼ばれている。グーグル、フェイスブックなどのグローバルIT企業が第4次産業革命の分野に注力することと対比される。新たに進出する事業が、自分がすでに手掛けている事業領域の基盤を一部傷つける「自己蚕食」効果が起きても構わない。

ベゾスは、オンライン書籍販売を担当していた役員を電子書籍端末キンドル部門に発令を出しながら、「君の使命は、今まで積み上げてきたビジネスを殺すことだ。紙の本を売るすべての人たちを失業者にさせるように、デジタル事業を進めてもらいたい」と言ったエピソードが伝えられている。それほど新しく進出する事業への強い意欲とチャレンジ精神を示している。

アマゾンの限りない事業拡大と既存の勢力図を揺るがす捕食者戦略に、「アマゾン効果」という新造語まで生まれた。アマゾンの経営活動によって、関連業界が受けるショックをいう。先月28日、アマゾンがオンライン薬局ピルパックの買収を発表すると、市場は衝撃に包まれた。ピルパックは、米49州を対象に患者に処方薬を家庭に届ける企業だ。米最大手のドラッグストア「ウォルグリーン」の株価は10%、CVSの株価は6%が急落した。3月も「おもちゃ王国」と呼ばれる世界最大手のおもちゃ専門店トイザらスが、ついに米国内事業から撤退した。2000年、アマゾンに10年間オンライン販売独占権を与える契約を交わしたが、オンライン販路を開拓する時間を逃したせいだった。

米投資情報会社美スポーク・インベストメント・グループは2012年2月から、「アマゾン恐怖銘柄(Death by Amazon)指数」を発表する。アマゾンの収益拡大や新規事業への進出、買収合併(M&A)などで業績悪化が予想される小売企業54社で指数が構成される。

アマゾンは現在、韓国でAWSコリアを置いて、クラウド事業だけを手がけている。しかし、国内流通業界も、アマゾン効果を注視している。アマゾンは今月5〜13日、90ドル以上の購入客を対象に、韓国まで送料無料イベントを行った。様々なオンラインコミュニティには、普段送料負担のために簡単に購入できなかった物品を「直接購入」した人たちの認証が相次いだ。赤字を甘受したアマゾンが韓国進出のために行う探索戦に、関連業界も緊張している。

●「第2本社」誘致のために都市名も「アマゾン」に変える

アマゾンが米経済に与える影響は膨大なものである。雇用人数は、米国に4700以上の店舗を抱えているウォルマートに次いで二番目に多い。本社のあるシアトルだけで4万人を雇っている。

このため、アマゾンが昨年9月、第2本社(HQ2)の建設計画を発表して候補地公募に入ると、北米全域が大騒ぎとなった。第2本社建設費用として50億ドル(約5兆6500億ウォン)を投資し、5万人以上の新しい雇用を創出すると発表すると、米国はもとより、カナダ、メキシコなどの北米地域の238の大都市が入札提案書を出した。

アマゾンの第2本社プロジェクトは、サバイバルオーディション番組を連想させる。最終候補に上がった20都市が繰り広げる誘致合戦は、連日メディアから注目を集めている。ミズーリ州カンザスシティ市長は、アマゾンドットコムで1000個の商品を選んで五つ星のレビューを掲載した。ジョージア州ストーンクレスト市は都市名そのものをアマゾンに変えるという公約を掲げた。

アマゾンは、各都市が提出した申請書を通じて第2本社候補も選び、各地域と市民に関する生々しい情報を一文のお金もかけずに得ている。敷地選定を取り仕切るホリー・サリバン氏は、「我々は、未来のインフラ投資と雇用創出のための場所を探す時に非常に貴重に使われるはずの新しい都市の情報を得ることができた」と認めた。第2本社の建設も事業機会として活用するアマゾンの緻密な戦略を示している。  


洪壽英 gaea@donga.com