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「ひまわりの碑銘」

Posted July. 14, 2018 08:21,   

Updated July. 14, 2018 08:21

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今でこそ多くの文芸雑誌が存在するが、一昔前は少なかった。今でも変わらないのは、当時も今も文芸雑誌は商売にならない。貧しい詩人たちは紙代や印刷費などをどうやって工面したのだろうか。裕福な友人に助けられたり、詩人たち同士なけなしの金を叩いたりもした。

空腹と引き換えに手にした雑誌、飯よりも大事な文学、初期の文芸雑誌にはそう行った意味合いが込められていた。わかりやすくいえば孤高のプライド。このプライドを覗き見るのは結構面白い。1936年に創刊された「詩人部落」という雑誌もこれに値する。たった2回で廃刊となった。「詩人部落」の創刊号一番最初のページには咸亨洙(ハム・ヒョンス)のこの詩が載っている。

咸亨洙という詩人は長く生きることもなく、残した詩も少ない。にも関わらず彼の詩「ひまわりの碑銘」は当時、詩人先輩後輩の間で大きく膾炙された。生まれた時から注目を浴びるだけの力がこの詩の中に秘められていた。今も、愛唱する詩を聞かれると必ず答えの中に出てくるおなじみの詩でもある。

「ひまわりの碑銘」こそ孤高たるプライドが垣間見える作品だ。よく言われる根拠のない自負心とも言えるが、なんだって構わない。何度読み返しても咸亨洙のあの気概や表現力、そして想像力はまばゆいばかりだ。命取られても魂だけは渡さない、置かれた場所は卑しいけれどもソウル(soul)だけは気高いという思い。だらっとした日常に一喝し、はっとさせられる作品だ。

文学評論家


李沅柱 takeoff@donga.com