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探偵禁止

Posted July. 11, 2018 09:21,   

Updated July. 11, 2018 09:21

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「神よ、哀れな我が魂を助けたまえ!」1849年10月7日、「推理小説の父」と呼ばれるエドガー・アラン・ポーが残した端末魔の叫びだ。有名な探偵小説作家のエラリー・クィーンは、ポーが「事実上、近代の探偵小説に必要なすべての主要原則を確立した」と語った。シャーロック・ホームズから「名探偵コナン」に至るまで、探偵は大衆文化において欠かせない要素となって久しい。

◆探偵ほど小説と現実に開きがあるものはない。韓国には探偵(民間調査員)が存在しない。「信用情報の利用及び保護に関する法律(信用情報保護法)」40条によると、信用情報機関を除いて「特定人の所在や連絡先を調べ、金融取引など商取引以外の私生活を調査すること」は法律で禁じられている。「探偵」という言葉も使ってはならない。代わりに便利屋、興信所、生活調査などの業者が存在する。しかし、小説の中の探偵のような素晴らしい推理を基に事件を解決することが主業務ではない。多くは配偶者の不倫の現場を押さえることだという。隠しカメラや車両位置追跡機器を使って違法的に情報を取得し、証拠を利用して恐喝、脅迫が行われることもある。

◆経済協力開発機構(OECD)加盟の36カ国のうち、探偵が制度化されないのは韓国だけだ。「ピンカートン」という世界初の私立探偵社として有名な米国、豪州、英国をはじめとする大体の国は許可制で運営している。例外として日本だけが1892年、大阪にできた「商業興信所」を皮切りに届出を義務付けている。私立探偵学校のような機関で約2週間の研修を受けると探偵になれる。現在、約6万人が活動している。

◆韓国でも1999年以来、探偵を法律で定める法案が国会に7回も発議されたが、通らなかった。信用情報を悪用し私生活を侵害する恐れが多いという理由だ。警察庁、法務省、弁護士集団などの利害関係が衝突することもあった。憲法裁判所は昨日、裁判官全会一致で信用情報保護法40条は合憲とし、職業選択の自由を侵害していると元警察官が提起した違憲訴訟を却下した。5000~1万人に及ぶ国内の「探偵」はため息を付くばかり。しかしながら、私生活侵害に関する議論を断ち切れなかったという面では身から出た錆びなのかもしれない。


閔東龍 mindy@donga.com