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「難民天使」メルケル氏、難民の流入規制強化へ

「難民天使」メルケル氏、難民の流入規制強化へ

Posted July. 02, 2018 08:37,   

Updated July. 02, 2018 08:37

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穏健な難民政策のために政権崩壊の危機に直面したドイツのメルケル首相が、崖っぷちから脱出する見通しだ。

メルケル氏は先月30日、連立政権のパートナーに送った書簡で、「16の欧州連合(EU)加盟国が欧州内で移動した難民を最初に到着したEU国家に速やかに送ることに合意した」と明らかにした。28の加盟国全員の同意は受けられなかったが、難民が他の欧州国家に到着して亡命を申請した後、ドイツに移動することを阻止する努力がある程度実を結んだのだ。メルケル氏は、対難民強硬策を訴えてきたキリスト教社会同盟との連立政権を維持するために、「2次移動(他の欧州国→ドイツ)」を阻止する合意を引き出さなければならなかった。

DPA通信によると、メルケル氏はドイツの国境に難民問題を処理する大規模な「難民収容センター(anchor center)」の設立を推進することを決めた。難民が到着する1次国家の一つであるブルガリアにドイツ警察を派遣し、ギリシャ国境で活動する欧州対外国境管理協力機関を支援する計画だ。

メルケル氏は難民の最大関門であるギリシャ、スペインの首脳との3者会談を通じて、これらの国に難民申請した難民がドイツに入国する場合、送還することで合意した。その代わり、ドイツは現在、ドイツに住んでいる難民が他のEU国家にいる家族と共に暮らすことを望む場合、許可する方針だ。

メルケル氏は先月30日、キリスト教社会同盟の党首でもあるゼーホーファー内相と会って、連立政権の維持交渉に入った。ゼーホーファー氏の側近であるマルクス・ゼ―ダー・バイエルン州首相が、「メルケル氏の合意は正しい方向」と歓迎の意向を表すなど、キリスト教社会同盟が連立政権維持の方向に向いている。

「難民の天使」メルケル氏まで欧州外からの難民の統制強化に賛成せざるを得ないほど最近欧州内の反難民感情が強まっている。先月29日に終わったEU首脳会議、激しく対立しつつも辛うじて合意に至ったのも、ひとまず欧州に入ってくる難民を抑制しなければならないという危機感のためだ。

EU首脳たちは難民の入国を厳しくし、出国を簡単にすることで合意した。EU国境の守備を強化する一方、難民が出る国家を支援して難民の入国を抑制する方針だ。また、各国が「難民統制センター」を設置して難民資格審査から追放まで手続きを迅速する道を開いた。

利害関係が異なる欧州各国は大義名分を得た。難民の関門である地中海の国家は、欧州国家から支援を引き出した。ギリシャのチプラス首相は、「EUがギリシャやエーゲ海5島に財政支援をすることを決めた」と明らかにした。チェコやハンガリーなど東欧国家は、「追加の難民割当制の導入を阻止した」と喜び、内陸国家は「2次移動」を阻止することで初期の目標を達成した。

しかし、対立の可能性は残っている。今回の合意を履行するには多くの資金が必要だ。欧州に来る難民を受け入れるトルコに30億ユーロ(約3兆9000億ウォン)を追加支援することを決め、難民を送る北アフリカにもEUファンドを支援することで合意した。欧州対外国境管理協力機関の運営にも多くの費用がかかる。この費用をEU加盟国の各国がどのように分担するかに雷管が隠されている。さらにハンガリー、チェコ、ポーランドなどが「ドイツと2次移動を阻止する個別合意をしていない」と否定しており、各国の利害関係によって合意が崩れる可能性もある。


董正民 ditto@donga.com