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突破口を見出せないEU難民問題、シェンゲン協定まで動揺

突破口を見出せないEU難民問題、シェンゲン協定まで動揺

Posted June. 26, 2018 08:46,   

Updated June. 26, 2018 08:46

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「難民と移民問題を放置すれば、シェンゲン協定の未来が危うい」

24日、欧州連合(EU)16ヵ国の首脳が参加した難民関連の非公式首脳会議で、イタリアのコンテ首相は、「イタリアに到着したことは、欧州に到着したことを意味する。私たちは責任と連帯を再確認しなければならない」と主張した。そして、「(EU加盟国間で別途の通行手続きなく自由に移動できるようにした)シェンゲン協定が難民問題によって危機に直面した」と警告した。イタリアはギリシャとともに、地中海を渡ってきた難民が最初に到着する国だ。他のEU加盟国が、現在イタリアとギリシャが経験している難民問題を見て見ないふりするなら、自由な通行を保証できないと警告したのだ。

EUのある外交筋は24日、英紙ガーディアンに、「移民問題を解決できなければ、シェンゲン協定は終わるだろう」と懸念を示した。難民問題がEU統合の根幹まで揺さぶっているのだ。

その原因は、逆説的に欧州統合のリーダー的役割をしてきたドイツが提供している。メルケル首相が所属するキリスト民主党の姉妹党、キリスト社会党の代表ホルスト・ゼーホーファー内務相は、他国を経てやって来た難民に対して国境閉鎖を推進している。メルケル氏は、ドイツがすれば他のEU国家が追従し、事実上シェンゲン協定が崩壊するとブレーキをかけた。ゼーホーファー氏はメルケル氏に、「7月1日まで代案を出さなければ、連合政権を破棄する」と迫っている。

難民政策に関する意見の相違で、連合政権が解体する危機に直面したメルケル氏は、あたふたと難民について話し合う非公式首脳会議を招集したが、解決策を見出すことはできなかった。メルケル氏は首脳会談後、「私たちは継続して努力する」とし、「EU国家と2国または3国交渉を推進する」と明らかにした。

 

現在、EU加盟国は難民問題と関連して大きく3つの陣営に分かれて対立している。EUの最大富裕国ドイツは、難民の「2次移動」を阻止する案を推進している。欧州の地に足を踏み入れた難民の最終目的地がドイツというケースが多いためだ。内陸に位置するオーストリアもこれに同調する。1990年にEU12ヵ国が締結したダブリン規約は、難民が初めて入国したEU国家で亡命資格の審査を受け、他国に再び移動して難民申請をすれば、最初に入国した国家に移送するよう規定している。しかし、実際に最初に入国した国家に移送されるケースはほとんどないため、ドイツは悩んでいる。

地中海に接するイタリアとギリシャは、2次移動防止構想に強く反発する。コンテ氏は、「最も深刻なことは1次移動であるにもかかわらず、これに対する解決なく2次移動を議論することはあり得ない」とし、「難民が到着した最初の国家がその難民の責任を負わなければならないというパラダイムを変えなければならない」と主張した。そして、「すべてのEU国家が難民受け入れの責任を分け合い、これを拒否すればEUファンドの支援を受けられないようにしよう」と提案した。

しかし、この提案は東欧国家が反対している。東欧国家はEUが加盟国に難民受け入れの責任と連帯を強要することを拒否する。ポーランド、ハンガリー、チェコスロバキアなど「ヴィシェグラード4ヵ国(V4)」の首脳たちは24日、首脳会議の出席をボイコットした。

EUは、欧州の外にセンターを作って、そこで難民審査を行い、EU国境監視兵力を増やすといった代案を推進しているが、各国の意見が衝突し、28日のEU首脳会議でも難民問題の解決策を見出すことは容易でない見通しだ。


董正民 ditto@donga.com