Go to contents

「孤独な独裁者」金正恩氏、なぜ外の世界に出てきたのか

「孤独な独裁者」金正恩氏、なぜ外の世界に出てきたのか

Posted June. 23, 2018 08:44,   

Updated June. 23, 2018 08:44

한국어

北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が2008年夏、脳卒中で倒れて健康を取り戻したある日。金総書記、妹の金敬姫(キム・ギョンヒ)氏と夫の張成沢(チャン・ソンテク)氏、金正恩(キム・ジョンウン)氏が食事を兼ねた家族会議を開いた。

 「(後継者は)正恩がいいと考える」(金総書記)

 「分別のない子どもにこの国の運命を任せるというのですか」(金敬姫氏)

 これに対して正恩氏は怒り、持っていた箸を投げて出て行ってしまった。

東京新聞の北朝鮮専門記者である著者が、脱北者の話を引用して紹介した後継者指名エピソードだ。「代わりがいない。何より本人が意欲を見せている」という金総書記の説得が受け入れられたという。

2012年に『父・金正日と私 金正男独占告白』を書いた著者が、正恩氏の素顔に迫った。『金正恩 狂気と孤独の独裁者のすべて』というタイトルからわかるように、正恩氏にそれほど好意的でない。北朝鮮が平昌(ピョンチャン)冬季五輪に参加した今年2月に書いた序文では、「2018年になって北朝鮮は韓国に接近しようとしているが、これは時間を稼ぎのため」と推測する。南北および米朝首脳会談につながった北朝鮮の非核化平和攻勢に対しては、「韓半島で薄氷の上を慎重に歩くような危険な日々が続くだろう」と見通した。

1999年、東京新聞ソウル支局長として赴任し、20年近く北朝鮮と韓半島問題を追跡してきたベテランらしく、一人の人間として正恩氏と彼のルーツである金日成(キム・イルソン)主席、金正日総書記の略史、正恩氏の核・ミサイルおよび対米、経済政策などを幅広く扱った。


申錫昊 kyle@donga.com