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光州型の雇用

Posted June. 19, 2018 08:33,   

Updated June. 19, 2018 08:33

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光州(クァンジュ)広域市には、サンチュ(サニーレタス)揚げという独特なスナックがある。名前だけ聞けば、レタスを揚げたものと誤解しがちだが、実はイカの天ぷらを醤油に漬けた唐辛子に添えて、包んで食べるサンチュサムだ。レタスが脂っこさを抑えて、揚げものの香ばしい味がさらに際立つ。サムは肉に、揚げ物は醤油にのみ合うという先入観を破ったおかげで、2つの成分が新しい味を作り出した。

◆光州市が「光グリーン産業団地」で推進している「半額給与の自動車工場」も、一見レタス揚げと似ている面がある。自動車工場は高賃金という、そして賃金が多くないので大企業でなければ良い仕事はできないという従来の枠組みを破る試みだ。いわゆる「光州型雇用」の年俸は、既存の自動車工場労働者の平均賃金の半分に満たない4000万ウォンだ。しかし、光州市が住宅や医療、教育を支援して、1世帯当たりの実質的可処分所得を高めることにした。1万2000件の新しい雇用が地域経済に寄与することを考慮すれば、市としても損をしない投資だ。

◆光州型雇用は、1999年にドイツ・ヴォルフスブルク市とフォルクスワーゲンが合弁した「アウト5000」をモデルにしている。既存賃金の80%を支払い、労働はプラス3時間行う条件で、フォルクスワーゲンヴォルフスブルク工場の中に、別工場を立ち上げて、青年たちと長期失業者を雇った。18%まで高騰した地域の失業率を解消するための社会的妥協だった。

◆民選4人目の尹壯鉉(ユン・ジャンヒョン)市長が構想を打ち出して4年目になる先月、現代(ヒョン絵)自動車が投資意向書を提出し、工場設立は現実のものになろうとしている。現代自動車は年間10万台を委託生産することにしたが、現代自労組の激しい反発がネックとして登場した。現代自労組は、「半額年俸は全体労働者の賃金を引き下げる」という名分を掲げたが、結局は、「自分の分け前を心配してのことだ」というのが自動車業界の声だ。光州型雇用は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領も関心を示した事案だ。果たして「親盧(盧武鉉氏系)政権」のコア地域である光州で、労働界の反対を押し切って「雇用実験」が成功するのだろうか。光州市と現代自の実験が、新たな雇用モデルを作り出すのか注目される。


朱性元 swon@donga.com