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ソ連崩壊の直撃弾は「穀物兵器」小麦?

Posted April. 07, 2018 07:23,   

Updated April. 07, 2018 07:23

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穀物は単なる貿易の品目を越え、時に致命的な兵器になり得る。旧ソ連崩壊時、「小麦」がそうだった。

ロシアとウクライナは現在、世界の小麦生産の20%を占める巨大生産国だ。ロシアは昨年、小麦輸出で欧州連合(EU)に続き世界2位になった。トカチョフ農業相はこう話した。「ロシアで小麦は石油よりも大きな、最大の外貨収入源になるだろう」。

しかしソ連体制では違った。1962年からカナダや米国の穀物メジャーから輸入しなければならないほど穀物の生産性は低かった。状況は悪化の一途を辿った。70年に入ってからは、小麦輸入による貿易収支の悪化で経済が破綻する状況だった。62年のキューバ・ミサイル事態を機に米ソ間で始まったデタント(緊張緩和)ムードの背景には、ソ連のこのような小麦生産不足があった。

ソ連の小麦不足の背景は何か。ひとことで言ってそれは農業政策の失敗だ。20年代に導入された集団農場制の低い生産性、非効率な食糧流通構造(年間3千万トンの小麦の流失)が直接の原因だった。ブレジネフ書記長の経済体制(64~82年)の下、ソ連の住民は日常的に窮乏していた。デタントを選択したソ連に米国は、西側のソ連への小麦輸出を許可することで応えた。しかし、この時からソ連は輸入小麦が足かせとなった。穀物輸入で支出が増え、72年から経済は沈滞の一路を辿った。

79年、カーター米大統領は、ブレジネフ氏と第2回戦略兵器制限交渉を終えた後、超強気に出た。ソ連のアフガニスタン侵攻を誘導した米国は、時を逃さず乗り出し、国際社会に向けてソ連の武力侵略を非難した。そして会心のカードを投じた。西側国家の小麦輸出の凍結決議だ。

ソ連は実益もない戦争に軍備だけ浪費し、低迷した経済を一層悪化させた。それだけではなかった。ただでさえ深刻な慢性的な食糧難を加重させた。結局、連邦の維持まで困難な状況に突き進んだ。そのような中、ブレジネフ氏まで心臓発作で急逝(82年)。85年に書記長になったゴルバチョフ氏は、改革政策でこの三重苦の打開に乗り出した。しかしそれも力不足で、連邦は崩壊(91年12月)した。

むろん、米中間「大豆神経戦」は過去の米ソ間の「小麦戦争」とは状況が全く異なる。小麦は窮極的にソ連を崩壊させるために動員された米国の穀物兵器だった。現在、米国から大豆を大量輸入する中国は、トランプ大統領の支持基盤である「ファームベルト」を狙って25%の関税爆弾カードを投じた。つまり、輸入国の「関税兵器」に活用される様相だ。しかし、中国としても大豆の対外依存度が高く、ともすると国内経済にブーメランとなって作用する可能性もある。それだけ国益が複雑に絡み合っている。


チョ・ソンハ記者 summer@donga.com