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洛東江の水質改善はおろか…栄州ダムは早くもアオコ現象

洛東江の水質改善はおろか…栄州ダムは早くもアオコ現象

Posted March. 29, 2018 08:19,   

Updated March. 29, 2018 08:19

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「ダム」といわれれば、人は当然水門から吹き出てくる巨大な水流を考えがちである。しかし、20日訪れた慶尚北道栄州市(キョンサンブクド・ヨンジュシ)にある栄州ダムの姿は違っていた。ダム構造物の近くを除けば底があらわになり、ところどころに水たまりだけが見えた。水に浮かんでいるはずの赤いブイは、乾いた底で転がっていた。船をつけるために作られた小さな船着場は、ひびの入った土のダム底に置かれていた。

この日の栄州ダムの貯水率は0.3%に過ぎなかった。韓国水資源公社は先月末から、栄州ダムの水を最低水位だけを残して放出している。2016年と昨年、相次いでアオコと黒水が発生したため、水が溜まらないようにするための措置である。

しかし、3月中旬に過ぎないこの日、ダム近くの水はすでに緑色を帯びていた。アオコは通常、4月中旬頃に気温が上昇すると現れ始める。しかし、今月14日は気温が20度まで上昇し、例年に比べてアオコ発生時期が早まったものとみられる。

栄州ダムは、慶尚北道奉化郡(ボンファグン)から栄州市、醴泉郡(イエチョングン)に流れる乃城川(ネソンチョン)に造成されたダムである。李明博(イ・ミョンバク)政権時代だった2009年6月に「主要4河川再生マスタープラン」に含まれ、同年12月に建設が開始された。堰の浚渫など、主要4河川の本事業は2012年12月に終わったが、栄州ダムは2016年10月までかかった。主要4河川事業の最後のダムである。

栄州ダム建設の目的の一つは、「洛東江(ナクドンガン)流域の水質改善のための水量確保」である。洛東江の支流である乃城川の1級水を貯蔵して、下流に流すことで洛東江の水質を改善するというものである。しかし、ダム建設後、乃城川の水は1級水に及ばず、むしろ毒性のあるアオコが現れた。

市民団体と専門家らは、当初のダム建設計画から間違っていると主張している。周辺に農畜産業の施設が多く、肥料や糞尿が川に流れ込む構造であるからだ。実際、栄州ダムからダムの上流に向かう途中の両側に、堆肥が撒かれた畑を簡単に目にすることができた。金丁勖(キム・ジョンウク)ソウル大学名誉教授は、「栄州ダムのアオコは肥料などの有機物質の分解によって現れたものだ」とし、「黒水も有機物汚染が続くことで、現れるものと推定される」と語った。

むしろダム建設前の乃城川は、水が流れ続けるうえ、砂がフィルターの役割をして、1級水を保っていたという。詩人金素月(キム・ソウォル)の「母よ姉よ、河畔に住もう」のモチーフになった川がほかならぬ乃城川である。しかし、ダム建設で砂を掘り出したため、今や砂はほとんど目にできない。この日栄州ダムの底には、泥または大小の石だけが無数に積まれていた。木の枝やペットボトルなどの各種ゴミも転がっていた。

専門家らは、不十分な環境影響評価をその原因として指摘している。環境部の関係者は、「当初、環境影響評価の当時、アオコと黒水をはじめ、今後起こりうる環境問題を綿密に適示しなければならなかったが、このような内容は含まれなかった」と話した。通常、環境影響評価は、四季の影響を勘案して評価書を作成する必要があるので1年ほどかかるが、栄州ダムの環境影響評価は5ヶ月間しか行われなかった。

不十分な環境影響評価は、栄州ダムだけの問題ではない。金恩京(キム・ウンギョン)環境部長官は14日、国会環境労働委員会全体会議の業務報告で、「主要4河川は、環境影響評価が公平性を保てなかったという複数の事例があるのは事実だ」と述べた。主要4河川事業に投入された予算は計22兆ウォンで、このうち1兆ウォンが栄州ダム建設に使われた。


栄州=キム・ハギョン記者 whatsup@donga.com