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民を愛した王?「聖君」世宗を裏返す

Posted March. 24, 2018 08:11,   

Updated March. 24, 2018 08:11

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韓国人に、尊敬する歴史上の人物を挙げろと言うなら1、2位を争う人物がほかならぬ世宗(セジョン)大王だ。ハングルを創製し、政治社会的な様々な制度を整備することで、朝鮮王朝の基礎を作ったからだ。しかし、経済学者の著者は、「世宗=聖君」という評価に疑問を提起する。当時の実状を突き詰めれば、前近代的な側面が多く、称賛ばかりするわけにはいかないという指摘だ。

世宗への批判の根拠として掲げたのは、大きく3つ。奴婢制の拡大と妓生(キセン)制の拡散、事大主義の強化だ。まず、奴婢制の拡大は、世宗が兩班層の利益のために奴婢が増えざるをえない政策を進めたことで始まった結果だと分析した。良人(奴婢でない人)の男性と奴婢の女性の間で産んだ子を奴婢に規定する「奴婢從母法」を制定して、奴婢を増やしたのが代表的だ。

妓生制の拡散も同じだ。世宗は1431年、官婢が良人の男性との間で産んだ娘は妓生、息子は官奴にすべきだという刑曹の建議を受け入れた。1437年は、国境地帯の兵士を慰める目的で、妓生を置くように指示するなど、妓生の人権より兩班層の便宜のみを追求した前近代的君主だったと解釈した。

また、天に捧げる祭祀である天祭を自ら撤廃するなど、中国王朝に朝鮮を実質的に従属させる事大主義政策を展開したと批判した。ハングル創製も、中国漢字の発音を正確に表記する目的で作った発音記号にすぎないと低めに評価した。

このような分析は、従来の歴史学界の解釈とは大きく異なる。挑発的な内容が多いことを意識したのか。著者は、本を巡る批判を、開かれた心で、感謝して受け入れたいと余地を残した。


宋眞洽 jinhup@donga.com