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[社説]ビットコイン10年、政府・国会「対岸の火事」が状況を大きくした

[社説]ビットコイン10年、政府・国会「対岸の火事」が状況を大きくした

Posted January. 13, 2018 09:37,   

Updated January. 13, 2018 09:40

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新韓銀行が12日、仮想通貨(ビットコイン)取引のための実名確認サービスの導入を延期した。仮想通貨の取引が社会問題になった状況のうえ政府の政策も不確かなことを受けて保留したのだ。政府が昨年末、実名確認が可能でこそ仮想通貨取引を許可すると言ったため、主要銀行が実名確認サービスを導入しなければ、国内の取引所での仮想通貨取引はできなくなる。11日、法務部が省庁間の調整なく取引所閉鎖の方針を明らかにして市場が動揺したように、仮想通貨をめぐる不確実性だけが大きくなっている。金東ヨン(キム・ドンヨン)経済副首相兼企画財政部長官まで法務部の発表に対して「常軌を逸した」と指摘したが、まとまった政府対策は出ていない。

韓国で取引される仮想通貨が国際相場より30~50%高く「キムチプレミアム」という言葉が生まれるほど市場が過熱した理由は複合的だ。仮想通貨投資の危険性も理解せずに殺到する韓国特有の投資文化も一原因だ。さらに最悪の若者の就職難で「未来がない」と判断した20、30代の若年層が全財産をかけて飛び込む現象は明らかに正常ではない。

しかし、政府がこれを無条件閉鎖するという方法で接近すれば問題を解決できない。朴相基(パク・サンギ)法務部長官が、「仮想貨幣は価値のない石の塊」と言及したことは、新技術に対する政府の無知を物語る。国内取引所を閉鎖しても海外取引所を利用したり個人間(P2P)取引でいくらでも仮想通貨は取引できる。副作用があるからと取引所を廃止することは、行政便宜主義の発想にすぎない。

仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーンは、すでに国内の産業界も活用している。昨年、現代(ヒョンデ)商船は、荷主‐船会社‐税関‐銀行がブロックチェーン技術で物流関連書類を同時に共有し、文書の偽・変造の可能性を遮断するシステムを導入した。仮想通貨を許容しなければブロックチェーン技術を活用できないのかという論議の余地はある。しかし、ブロックチェーンそのものは様々な面で活用できるというのが専門家たちの一致した意見だ。このため、米国は昨年末、シカゴオプション取引所でビットコイン先物取引を始め、仮想通貨を制度圏に取り入れた。また、米国や英国、オーストラリア、ドイツなどは仮想通貨に税金を課してブロックチェーン技術を維持している。

政府と国会は、代表的な仮想通貨であるビットコインが世に出て10年になったが、これまで「対岸の火」を見物するだけだった。金融当局も一日に数兆ウォンが取引される仮想通貨市場に対して公式の貨幣ではないとして関心を向けなかった。昨年7月、与党「共に民主党」の朴用鎮(パク・ヨンジン)議員が「取引所認可制」を発議したが、国会政務委員会では一度も法案審議が行われなかった。1990年代末に発生したドットコム・バブルは少なからぬ副作用があったが、韓国が情報通信(IT)分野の強国に躍進する契機となった。政府は今からでも仮想通貨取引を制度圏に取り入れ、副作用を減らしながら業界と技術活用に努めなければならない。