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「ブレードランナー」とAIロボット

Posted October. 16, 2017 07:48,   

Updated October. 16, 2017 08:38

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リドリー・スコット監督の1982年作「ブレードランナー」は、サイバーパンクジャンルの始まりと呼ばれる映画だ。暗鬱な未来に人間と同じような容姿を持ち、思考をするレプリカント(クローン人間)が労働力を提供する。4人のクローン人間が植民惑星を脱出して地球に潜入し、特殊警察であるブレードランナーが彼らを追う。クローン人間が遺伝子の組み換えで自分たちの作った人を見つけて、「父」と呼んで延命を要求するシーンは、今見ても衝撃的だ。

◆その続編である「ブレードランナー2049」も、人間らしいこととは何なのかという前作の重いテーマを扱っている。前作から30年の歳月が過ぎた時点で、新たに製作された従順なクローン人間「K」が人間への反乱を企てる旧クローン人間を見つけて削除し、アイデンティティの混乱に陥る。30年前、クローン人間は空想科学(SF)映画や小説の中の話だった。しかし、20~30年以内に雇用の半分をAIやロボットが代替するという見通しが出てきた今では、現実に迫った問題となっている。

◆人工知能(AI)ロボット「ソフィア」が11日、国連経済社会理事会に出席したのは、いろいろな面で象徴的である。香港のロボット製造企業「ハンソンロボティクス」が昨年開発したソフィアは、技術の変化をテーマに開かれた国連会議で、「AIが正しく使用されるように、人間が技術を管理する必要がある」と語った。人間に比べて何がうまいのかという質問には、「まだ一歳半なので、いろいろと学んでいるところだ」とも答えた。しかし、1年前にはソフィアは、「人類を破滅させたいのか」と尋ねると、「オッケー。人類を破滅させる」と答えた。どちらが本当のAIの姿だろうか。

◆欧州連合(EU)議会は今年1月12日、AIに対して「電子人間」という法的地位を与えた。法人を除けば、人間ではない存在が法的地位を得たのは初めてだ。EUは、「ロボットは人間に害を与えることができない」などのロボット3原則を定め、ロボットは人間に従属的存在であることを明示した。しかし、「ブレードランナー」やソフィアの発言を見ると、そう楽観できるものなのか疑問がある。人間性とは何か、生命とは何なのか、その定義をAIが完全に覆す日はそう遠くない。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com