Go to contents

政治家になったフランスの天才数学者、セドリック・ヴィラニ氏インタビュー

政治家になったフランスの天才数学者、セドリック・ヴィラニ氏インタビュー

Posted July. 24, 2017 09:57,   

Updated July. 24, 2017 10:28

한국어
約1ヵ月前のフランス総選挙で、議席がなかった新党「共和国前進」が多数党になった。政治に入門した各界専門家の中で特に注目された人物が、天才数学者と呼ばれるセドリック・ヴィラニ下院議員(44)。

フランスのリヨン第1大学の教授でアンリ・ポアンカレ研究所の理事も務めるヴィラニ氏は、2010年に「数学界のノーベル賞」と呼ばれるフィールズ賞を受賞した。ヴィラニ氏は、肩までのヘアスタイル、蜘蛛のブローチ、大きなアスコットタイなど個性的なスタイルと活発な講演で有名だ。

そのヴィラニ氏が政界入りし、13日にはフランス国会の科学委員会委員長に選出された。政治家に転身した天才数学者の1ヵ月はどうだったか。先月の短い現地インタビューに続き、2回の電子メールを通じてヴィラニ氏に尋ねた。

――政治家として1ヵ月間過ごした感想は…。

「非常に混乱し、忙しかった。スケジュールは『怪物』のようでよく変わる。序盤は大変だ」

――なぜ政治に飛び込んだのか。

「元々、政治をするつもりはなかったが、マクロン大統領と共にする政治なら完全に異なる新しい政治になると考えた。欧州、無イデオロギー、発展と実用などマクロン氏が追求する価値が私の考えとぴったり合致した」

――最近の日課は…。

「運転が好きでなく、10年前から運転していない。パリから約50キロ南方になるエソンヌ県から議員事務所があるパリ・オルセーまで郊外線で通勤する。列車の中で政策を構想する。時々昼寝をした後、参謀らと討論し、データを分析する」

――データなら…。

「選挙区内の居住者数や役所近辺の政治的歴史などのデータ。これらを交差させて拡張していく」

フランスのメディアに最近、リュックサックを背負って現場を駆けまわるヴィラニ氏の姿がたびたび登場する。大きなアスコットタイは、早足で歩くためによく肩まで上がっている。ヴィラニ氏は、「数年ぶりに妻と2人の子供と夏休みに出かけることなく仕事をする予定だ」とし、「忙しくなった日常で、庭で鶏に餌をあげたり草花に水をやってゆとりを見出す」と話した。

――数学を政治にどのように組み合わせるのか。

「エソンヌの有権者の69.36%が私を支持したという高い支持率に自信を得る。私は政治活動において数学者に分類されることを望まない。しかし、投票、選挙規則、アルゴリズム、サイバーセキュリティ、人工知能など数学が重大な役割を担う政治活動は無尽蔵だ。数学が私の政治のアドレナリンを刺激する。フランス科学委員会を改革する」

先月パリでヴィラニ氏と会った場所は、意外にも美術館だった。ヴィラニ氏はパリのカルティエ現代美術財団のカンファレンスを企画してきた。先月には、自動車写真展と連携した「速度の夜」というカンファレンスの進行者として、音楽家、天文学者、哲学者など異種の専門家たちと速度について討論した。議員になってわずか3日後のことだった。現在、ソウル市立美術館で開かれているこの財団の所蔵品の展示でも、ヴィラニ氏が数学問題を解く手を撮った短編映像を見ることができる。

――数学者なのになぜ芸術と手を握るのか。

「数学と芸術の出会いは、まさに数学と人の出会いだからだ。数学者と芸術家は共通する部分が多い。豊富な感情、想像、深い思考、そして挫折まで…」

ヴィラニ氏は「なぜ蜘蛛のブローチをつけるのか」という質問をしばしば受け、いつも「秘密」と答える。ヴィラニ氏の著書『定理が生まれる』(2014年)の著者紹介には、「蜘蛛のブローチをつけると、問題を解く時にアイディアがよく浮ぶ」と書かれている。「子供の頃、ピアノの先生に習った通り指を蜘蛛のようにぱっと広げて、机の上のキーボードを力いっぱいたたく」。家族と一緒にアニメ「ベルサイユのばら」を見るヴィラニ氏は、茶と音楽、チーズを好む。

――フィールズ賞の受賞者を見ると、フランス人が米国に次ぎ2番目に多い。なぜフランス人は数学に強いのか。

「数学は抽象化とイデア(理想)に関することだが、フランスの文化と歴史がこれに対して根が深い。数学は思惟活動を通じて想像力を発揮する。私の友人である写真家のレイモン・ドゥパルドン氏は、数学者を撮影すると『数学者がどれほど幸せか分かった』と言っていた」