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[オピニオン]手紙の力

Posted March. 18, 2016 07:25,   

Updated March. 18, 2016 07:30

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5年前、日本宮城県のとある小学校の卒業式で、オイカワ・リナさん(当時12歳)は、先生から1通の手紙を受け取った。封筒の表には、「ママがリナに」と書かれていた。「誰に対しても思いやりのある人に育ってほしい…。あなたがレディーになり、大人に成長する間、家族は皆あなたを支えながら一緒に力を合わせるから…。リナの笑顔や言葉にいつも支えられている。ありがとう」。しかし、力になってくれると語っていた母は、傍にいない。20日前に東日本大震災がもたらした津波によってこの世を去ったためだ。

◆まるで、天国から送られてきたようなこの手紙は、学校側が保護者らに対して、卒業する子供宛てに書いてほしいと、2月末に頼んで、東日本大震災が起きる前に受け取っておいたものだ。教師らは、泥沼に化した職員室を1週間も必死に探して、手紙の保管箱を見つけ出した。泥まみれになった封筒を開けて、手紙を読む娘の目からとめどなく涙が流れた。この手紙は、この世を去った母親代わりとして高校生になったはずのリナさんのそばにいつもあるだろう。

◆日本岩手県のとある丘には、「漂流ポスト3.11」という郵便ポストが、海に面している。津波によって愛する人たちを失った生存者たちが送った手紙が、この郵便ポストに集まってくる。ここでカフェを運営しているアカガワ・ウジ氏は一昨年、赤い郵便ポストを設置した。カフェを訪れた人たちが、この手紙を読んで目頭を拭う。手紙は離れていった人と残された人とを繋ぐ架け橋になる。お互いの気持ちが伝わるという希望が芽吹き、暮らしの支えになる。全羅南道珍島(チョンラナムド・チンド)の彭木(ペンモク)港にも、「天国郵便ポスト」がある。

◆「いつも一緒に試合に立ち会うから、精進しなさい。私が教えたことを忘れるな」。ボブスレー世界最強者となったウォン・ユンジョンとソ・ヨンウは、このくだりで涙を流した。一昨日、とある授賞式で最優秀選手賞を受賞した二人は、がんで亡くなったマルコム・デニス・ロイド・コーチに書いた手紙を読み上げた。「このすべてのことは、父親のようだったあなたのおかげだった」「尊敬し、愛する」と手紙を締めくくった。挫けない。平昌(ピョンチャン)で金メダルを獲得するという約束は生き残った、生きている人たちの役目だ。

異鎭(イ・ジン)論説委員 leej@donga.com